水道工事の本当のところその4-2

水道工事の材料

排水設備工事の材料

排水設備工事の材料は公共汚水マスから宅内の排水装置の間に使う材料のことです。 これも既に出来上がっていると言う場合は、役所に行けば見ることができます。 ここにも配置図面と勾配、使用材料明細がわかるようになっています。

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硬質塩化ビニル管

排水設備工事材料の代表選手。もっともよく使われています。耐火2層管や防音2層管も、 中身はこの硬質塩化ビニル管(以下塩ビ管)です。この塩ビ管には概ね2種類あって、 肉厚の厚いVP管とVP管の外形を基準として肉厚を薄くしたVU管があります。 他にはちょっと特殊ですがVP管の内径を基準として肉厚を薄くしたメーカー規格の管や、 断面が卵を逆さまに置いたような卵形管などがあります。

このうち一般戸建て住宅にもっともよく使われているのがVU管です。 一般家庭では呼び径で40mmから100mmまでのものがよく使われ、継ぎ手にはVU継手を使います。 VP管は中層から高層の集合住宅などでよく使われ、継手にはDV継ぎ手が使われます。

メーカー規格の管はその名の通りJIS規格やJWWA規格ではないので、 一般に使用することはできません。 卵形管は下水道法で決められている勾配(やむおえない場合をのぞき1/100)が確保できない場合などに使う場合があります。

VP管とVU管は外径が同じなので、継手も同じものが使えるように見えるのですが、 厳密に分けられています。VP管とVU管では肉厚が違うので注意しなければなりません。 それぞれ専用の継手はこの肉厚を考慮して作られています。 VP管にVU管用のVU継手を使ったり、VU管にVP用のDV継ぎ手を使ったりすると、 管内に段差ができてつまりの原因になることもあります。

防音硬質塩化ビニル管

下水道や水洗便所の普及とそれに伴う材料の進歩もあって、 今までのようにトイレやお風呂は一階だけと言う概念が無くなり2階や3階にまで設置する時代になりました。 そんな事情と相まって排水管の騒音を訴える人が増えてきており、 時代は排水管にも静粛性を求めるようになってきました。

そんな中登場したのがこの防音2層塩ビ管です。 今までは配管後にグラスウールや発泡スチロールなどで独自に対応していましたが、 より確実で耐久性の高い製品がニーズとともに生まれてきたと言うことでしょうか。 2世帯住宅などで1階の住人が就寝中に2階の住人がトイレや風呂を流しても、 安眠を確保できるという優れものです。無用の対立を防止する良い手段かもしれません:-)

普通の塩ビ管に比べてかなりのコスト高になりますが、 必要な箇所にだけ選んで使えばよいので、2世帯住宅などを建てる計画の方は是非検討してみることをお勧めします。 最近のマンションなどでは、義務づけられている耐火構造も備えた、耐火防音2層塩ビ管なども出始めている(定かではありません)ようです。

耐火2層硬質塩化ビニル管

普通の住宅にはほとんど使いません。アパートやマンションなどで防火区画を貫通するような場合に、 この耐火2層塩ビ管を使います。通常は耐火2層管[A]と呼んでいます。今までは排水鋳鉄管や排水鋼管が使われていたのですが、 施工の容易性や、最近の器具との接続性の良さから開発されたと言って良いでしょう。 通常の塩ビ管の外側に耐火物を被せたような2重構造の管で、 実際に火事が起きた場合は中の塩ビ管が融けてしまい使い物にならないと思いますが、 集合住宅などでの延焼防止に大変役立つというわけです。

外面の耐火層はセメント状のものでできており、継手も完全に2重構造になっています。 継手とパイプを繋いだ隙間は、粘土状の充填剤を充填し、硬化後は一体化した耐火構造となります。

硬質塩化ビニルライニング排水用鋼管

給水装置工事でも出てきた、硬質塩化ビニルライニング鋼管の排水用です。 給水装置のように圧力で搬送していないので、継手などでの段差は許されません。 したがってねじ込み式というわけには行かないので特殊な継手を使います。 表面が金属製なので耐火性にも優れ、内部は塩ビ管なので耐食性にも優れています。 高層ビルなどではよく使われているようです。

排水用鉛管

給水装置工事のところでも言いましたが、昔は排水管の花形でした。 時代とともに新しい材料が次々と現れ、重くて施工に時間が掛かり、 高層住宅に使われるコンクリートとの相性が悪いために、徐々に使われなくなってきました。 今ではほとんど使われていませんが、官公庁の建物などでは根強く一部に使われています。 主に排水管と排水器具の接続点に使われていますが、取って代わる材料もどんどん出てきていますので、 いずれはまったく使わなくなることでしょう。

排水用鋳鉄管

これも一般住宅にはほとんど関係がありませんし、よほどの高層住宅でない限りあまり使わないと思います。 昔は鉄がむき出しでしたが、最近では内面に粉体塗装したものなどが出てきて、 今までしていた定期清掃の間隔も長く設定できるか、不要になるかもしれません。

マス類

現在使われているマスには、コンクリート製と塩化ビニル製とに分けられるでしょう。 それ以外の製品もありますが、あまり使われていないようです。 コンクリート製マスは歴史が古く道路上のマンホールなどもこの部類です。 コンクリート製マスは特殊なことをしない限り少しずつ水が漏れているのが前提です。 また、コンクリートと塩ビの接続自体に無理がありどうしても継ぎ目にひびが入ります。 その隙間から庭の植木の根が進入したり、出来た段差に汚物が引っかかりつまりの原因を作ります。 最近では塩化ビニル製の汚水マスが各メーカーから数多く出荷され、一般住宅の排水設備では、 定番となりました。 一般家庭で使われるのは内径15cmほどの小口径排水マスと呼ばれるもので、以前のコンクリート製に比べ、 軽い、小さい、施工後すぐに水が流せる、水漏れがないなど利点ばかりが目立ちます。 今ではほとんどの自治体で採用されています。


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Updated: April,10,2015.