給水装置工事の材料は、前面の道路から蛇口までの間に使う材料のことです。 多くの種類がありますが、既に出来上がっているものは何が使ってあるか解りませんね。 興味のある方は役所に行ってコピーをもらってください。 あなたの家の配管図面と使用材料明細書が保管してあるはずです。 これから家を建てる人はこれから紹介する材料を吟味して選んでください。
次世代の材料からすでに使わなくなった材料まで、次のような種類があります。 それではその特徴を見ていきましょう。
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たいそうな名前ですね。通称「エイチアイパイプ」とか「塩ビ管」とか単に「エイチアイ」 等と呼ばれていてHIVPなどと略します。現在の給水装置で一番よく使われている材料です。 なぜ一番よく使われているかというと、それは値段が一番安いからです。 この管はパイプと同じ材質の継ぎ手を使い、接着剤をパイプと継ぎ手の両方に塗布して、 差し込んで繋ぐだけ、と、非常に簡単に工事が可能です。 いわゆるプラスチックのパイプと同材質の継ぎ手ですので、材料費が安く、 施工に掛かる手間もパイプを切断して繋いでいくだけなので、安く上がります。 一番よく使われている理由が良くおわかりでしょう。 この塩ビ管は用途が広く、配水管や自治体によっては給水引き込み管に使っています。 より詳しいことは塩化ビニル管・継手協会[A]でどうぞ。
一見簡単そうなこの塩ビ管の配管ですが、本当のプロは一番気を遣います。
パイプを切断して繋ぐ、この間に必要な工程が2つあります。この工程はややもすると忘れがちであり、
忘れることによって時間とともにその弊害が出てくる非常に重要な要素です。
先ず一つ目は、パイプの表面や継ぎ手の内面にホコリや油汚れがないよう、清潔な布等で清掃する。
これを忘れていると水圧の変動や土圧の変動、また、温度変化等で伸び縮みが起きた場合、
突然抜けてしまうことがあります。大変なことになるのは想像いただけると思います。
案外この工程を忘れるもので、この対策のためかどうか、年々強力な接着剤が市場に出てきています。
これは本末転倒で、強力な接着剤ほどパイプや継ぎ手を浸食しますので、強度が弱くなるはずです。
これは誰も認めたがらないでしょうが、実際に起きた事故を分析すると明らかです。
もう一つは、パイプの切断面は角が立っているので、適当な道具を使って面取りをする。と言うことです。
パイプの切り口の外側(継ぎ手に接する部分)を約45度の角度で少し削っておきましょうと言うことです。
恥ずかしい話ですがこれをしてない業者さんの数は、している業者さんの数を遙かに上回ると考えて差し支えありません。
でも、なかなか聞き難いし、わかりにくいですね。この工程も忘れると大変な事態を引き起こします。
塩ビ管の接続は先程も述べたように、パイプと継ぎ手の両方に接着剤を塗布して差し込みます。
このときパイプの角が切り立ったままになっていると、継ぎ手の内面に塗布された接着剤を削りながら押し込んでいってしまいます。
もうおわかりでしょう、先ほどの清掃の忘れと同じような事故が何年か先に起こる可能性が確実に上がります。
これのための道具もちゃんとあるのですが、持っている職人さんを捜すのに苦労するほどです。
道具については次のコーナーで解説します。
比較的寒冷地などでよく見かけるパイプの1つです。地域によっては配水管から量水器までの給水引き込み管に使っていたり、 ところによっては、配水管から蛇口までの間全てに使っているところもありPPとかPEなどと略します。 その理由は、塩ビ管などは比較的材質が硬く現在の規格ではそのほとんどが4mの定尺で切断されており。 必要な延長分の本数を継ぎ手を使って繋ぎながら配管しますが、ポリエチレン管は一番細い呼び径13mmの管では、 120mも巻かれた状態です。つまり柔らかいので万が一凍っても破裂しにくいと言うことと、 相当な延長を継ぎ手がない状態で配管できるというメリットがあり、寒冷地や給水引き込み管に向いていると言うことです。 パイプ自体は塩ビ管と値段の差はほとんどありませんが、ポリエチレン管は耐薬品性に優れているという特徴の裏返しで、 接着剤が使えませんので、継ぎ手が特殊なものになってしまいます。ほとんどの場合砲金と呼ばれる金属製で、 コアなどと呼ばれるテーパー状の金具等を用い、ネジによって締め込んで接続します。 この継ぎ手が高くつくため塩ビ管に比べてコストが高くつきます。が、配管方法によっては家の中に継ぎ手が内無いので、 漏水などのリスクが少なくてすみます。
ポリエチレン管で一番よく使われている砲金製の継ぎ手には大きく分けて2種類あります。
1つは先ほど紹介したねじ込むタイプ。もう一つは差し込むだけのタイプです。
差し込むだけのタイプはオーリングと呼ばれるパッキンと抜け止めのリングが内蔵された継ぎ手で、
水圧が掛かると抜ける力が働いて抜け止めリングが食い込むというものです。
残念ながら初期型のものに事故例が多く、採用しなくなった自治体も多かったようです。
もう一方のねじ込みタイプにも2種類あって、前述したコアが独立していて、パイプの内面にハンマーなどを使って打ち込んでからねじ込むタイプと、
コアが継ぎ手に内蔵されており、そこにパイプを差し込んで締め付けるタイプがあります。
構造上、コアが内蔵されているタイプの方が施工ミスの可能性が低く安心と言えるでしょう。
今ではまったくと言っていいほど使われなくなった水道用炭素鋼鋼管、いわゆる鉄管の強さと、 塩ビ管の耐食性を併せ持った材料です。具体的には鋼管の中に特殊な接着剤を塗布して塩ビ管を挿入した2重構造の管です。 幾種類かあって、外面が錆止め塗装だけの管(SGP-VA)、外面に亜鉛メッキを施した管(SGP-VB)、外面を樹脂で覆った管(SGP-VD)等などです。 それぞれに適した用途があり、露出配管などで最後の仕上げに塗装するような箇所に使うSGP-VA、 家屋の立ち上がり管などに使うSGP-VB、土間の下や地中などに使うSGP-VDと分けることができるでしょう。 家庭内の配管材料として、強度面では右に出るものはないと思われます。 構造が複雑なのと、2つの材料を使っているのもあり塩ビ管に比べると相当高くつきます。 もちろん接続に必要な工程も多く、全体的にコスト高となるため法改正以降使われなくなってきました。
このパイプは比較的早くから市場に出ていましたので、使われている家屋はたくさんあると思います。 しかし、継ぎ手の開発が遅れたというか、継ぎ手のコストを抑えたためとでも言いましょうか。 今までの鋼管を繋ぐ継ぎ手に塗装だけしたような継ぎ手がしばらく使われていました。 ちょっと想像をたくましくすると解るかもしれませんが、パイプの外側に切ったネジと継ぎ手の内側に切ったネジをに止水材を使ってねじ込みます。 このとき切断した管の端面は少しだけ鉄がむき出しになっています。継ぎ手も一番奥までパイプが入ることはまれで幾分鉄がむき出しのネジ部が残ります。 これが後々問題となりました。朝一番、水道をひねると少しだけ赤い錆水が出たという経験をお持ちの方もいるでしょう。 それだけのことならまだ良かったのですが、このわずかなむき出しの部分から腐食が進み、最終的には漏水が始まったわけです。 これを解消すべく管端の錆を防ぐコア内蔵型継ぎ手が次々と市場に出回ってきました。もちろんこの当時使用材料は役所が決めていましたので、 施工基準が変わったことに他なりませんが、これによって外面は鋼管、内面は塩ビ管という完全な形が出来上がりました。 あとは外面からの腐食がなければ半永久的に腐食しない配管材料と言うことになります。
ビニルライニング鋼管とほとんど特性は同じですが、こちらは鋼管の内面にポリエチレン樹脂を吹き付けて塗装したものと考えて良いでしょう。 ビニルライニング間がビニル管を挿入したのに対し、吹きつけ塗装なので厚みが薄く仕上がります。 ほんの少しだけこちらの方が安く手にはいるようですが、ほとんど変わりません。 強いて言うならビニルライニング鋼管より施工に注意が必要と思われますが、実績としてあまり差はないようです。 少しだけ安いと言うことでビニルライニング鋼管より最近ではよく使われているかもしれません。 ちなみにこちらも外面が錆止め塗装だけの(SGP-PA)、外面に亜鉛メッキを施した(SGP-PB)、外面を樹脂で被覆した(SGP-PD)などがあります。
既に大手建設会社が、集合住宅などで使っていたヘッダー工法と呼ばれる配管方法に使われているのが、この管です。 最近では一般住宅にも採用する建設会社が増えてきて、現在注目の的と言うところでしょうか。架橋ってなんでしょう。 Crosslinked Polyethylene Pipesだそうで、XPと略すそうです。なんだか次世代のOSみたいですね。 これは配管する方もかなり楽なので、普及してくれば値段もどんどん下がってくるでしょう。 ヘッダーというパーツから各水栓まで継ぎ手が一切無く、万が一の時はそっくり取り替えが効く、目が離せませんね。 とは言っても、実際に入れ替えが簡単にできるのはサヤ管ヘッダー工法です。サヤ管がないと意味がありません。 ほとんどの一般建築物ではあまりサヤ管ヘッダー工法を見たことがありません。 どちらかというと、工事が簡単で時間短縮ができるという意味合いで使っている場合が多いようです。 ユーザーの都合より業者の都合が優先しているとも言えるでしょう。 また、ヘッダー工法の本来の意味を理解してない建設会社や水道工事店が多いようで、 ヘッダー自体を全く点検の出来ない床下に設置しているようなケースを見受けます。 まさに業者の都合で、配管が一番短くなるような位置にヘッダーを設置しているとしか思えません。 後々なんの役にも立ちませんね。ご注意下さいませ。 なお、自治体によってちゃんと指導しているところもあるようです。
架橋ポリエチレン管工業界によりますと、架橋ポリエチレンとは、熱可塑性プラスチックとしての鎖状構造ポリエチレンの分子どうしのところどころを結合させて、 立体の網目構造にした超高分子量のポリエチレン
通常のポリエチレンにたいして
- 耐ESCが向上する
- 耐熱老化性を向上する
- クリープ性能が向上する
- 耐薬品性が向上する
- 耐熱老化性を向上する
のだそうです。管内面もなめらかで、スケール(垢)が溜まり難いそうで、 これからどんどん主役になっていくものと思われます。 より詳しいことは架橋ポリエチレン管工業会[B]でどうぞ。
お鍋やスプーンなどでおなじみの、あのステンレス鋼でできた管です。 鋼管と効くと普通の鋼管のように太くて重い物を想像しますが、ステンレスの独特の粘りなどの特徴から、 かなり薄くて軽い物でも充分な強度がでるため、大変扱いやすい物です。 自治体によっては引き込み給水管に指定しているところもあったと覚えています。 当然内外面ともステンレスですので錆びに強く、厨房などの配管で威力を発揮しているようです。 当社が施工したうどん屋さんも15年ほど経ちますが全くの無事故で今日まで働いています。
固い上に粘りがあり加工しにくいのが難点です。継ぎ手には砲金製の締め込むタイプや。 ステンレス製でオーリング内蔵の圧着継ぎ手などがありますが、後者は特殊工具が必要なのが難点です。 もちろん非常に高価な材料ですので一般家庭にはなじまないでしょう。
銅管と言えば給湯用でなじみが深いですが、給水用の銅管もあります。 私自身ハッキリとした用途を知らないのですが、殺菌効果があることなどから。 実験室のような所に使っていたのではないでしょうか。現在給水に銅管を使うことはほとんどありません。
その昔、水道配管と言えばこの鉛管だったと言っても過言ではないでしょう。鉛管工などと呼ばれていたとか。 配水管からの引き込み給水管はもちろん、蛇口の手前まで全て鉛管で配管されている建物もありました。 大変重いのですが、加工性に富みその当時は花形だったようです。ポリエチレン管などと同様、 かなりの長さを継ぎ目無く配管できますし、繋ぐときも半田で直接鉛管どうしを繋ぐことができます。 また、排水などでのトラップを鉛管の加工で作っていたそうで、昔の職人さんには頭が下がります。 現在は排水の一部に使われる程度で、給水には使わなくなりました。それどころか他の管への取り替えを推奨しています。 これも時代の流れですね。